2007年7月11日水曜日

ちょっと、お引っ越しをしてみます。

本ブログですが、何人かの皆さんより、「書き込みがしにくい」との
ご指摘をうけました。

gmailへの登録をすれば、容易にコメントを残していけるのですが、
たしかにそういうこともあるかもしれませんので、試しに、ビジター
でも簡単にコメントが書けるものにしてみました。

http://ukaru123.seesaa.net/

です。ぜひ、訪れてみてください。

しばらくサボっていてすみませんでした。

2007年6月19日火曜日

公立中と私立中の違いを痛感

 たまたま機会があって、公立中と私立中の両方を見学してきました。
 公立中のほうは、校長先生が熱心に学校改革を進めようと努力なさっておられる真っ最中。
 いろいろと難しい諸問題をかかえながら、ひとつひとつ課題をクリアするために奮闘中といった状況でした。安直に「荒廃」といった表現は使いたくありませんが、未来を託する子どもたちの生活空間としてこれでいいのだろうか、という素朴な疑問を抱いたのは事実です。
 だからこそ、この公立中では改革を推進しようとなさっていたのですが…。

 また、私立中の方は、今年新たに開校した学校です。もともと女子校としてはあったのですが、まったく新たに校内に男女共学のコースを新設して、第1期生の中1だけの学校です。中野にある宝仙理数インターという、耳慣れない校名の学校でもあります。
 副校長先生が古くからの友人ということもあって、学校を訪れ授業も見せていただきました。1クラスに18名~19名で3クラス。公立の40人学級との違いは数の面だけではなく、授業内容の相違があまりに大きく、今更ではあるのですが、私立中優位の状況を見せつけられた気がします。
 この学校では、全員が同じノートパソコンを支給(正確にはリースだそうです。月額2300円のリース料)され、文房具のひとつとしてノートパソコンを中1の生徒が駆使しているのは印象的でした。使わない時や帰宅時には各自のロッカーに入れておくのだとか。
 英語も、ネイティブの先生と日本人の先生が2人1組のチームティーチングですので、先生1人あたりの生徒数は10人に満たないという環境は公立では望むべくもないことでしょう。

 単純に両校を比較することはできないと思います。方やごく一般的な公立中であり、もう一方は発足したばかりの私立校で資本の投下も思い切ってやっている時期ですしスタッフもフレッシュな気持ちで中1だけを相手にしていればいい状況ですので、基礎条件の違いが大きすぎます。
 とはいえ、客観条件でくらべると、スペースとしての空間は公立中が段違いに広く、先生の数も生徒数が多いとはいえ格段に公立のほうが上回ります。
 どこが違うのか。うまく表現できませんが、流れる空気の違いを感じました。私学がいいか公立がいいかという単純な選択ではなく、学校として目指す明確な方向性を有しているかいないかの違いは、子どもたちが生活する空間の質的相違に発展していることを認識しなければならないと思います。

 たまたま訪れた私立中が良いというのではなく、現在のごく普通の公立中こそ、より積極的に変えていかないと、もしかしたらこの国は大変なことになりはしないかという危惧を強く感じました。公立がダメだから私立中を選べば良い、ということで済む問題ではないからです。
 ただ、消息筋によれば、都会地の公立学校教諭のご子弟が私立学校に在籍する比率はきわめて高いとのことですから、公立の抱える問題については最も深く認識されているともいえそうです。

2007年6月12日火曜日

耳から言葉を覚えていく

 今回、勉強会で紹介した教材は、「ことわざ・慣用句」をラジオドラマ仕立てで収録したCD教材です。
 
 中学入試国語では、知識問題そのものが配点として高いわけでもないのですが、ことわざや慣用句などは、勉強以前のこととして、日常生活のなかで、使えるようになってほしいと願っています。

 その意味で、このCD教材は、ことわざや慣用句が実際に会話で用いられる情景をショート・ドラマ仕立てにして収録されています。
 アケちゃんにいわせると、「ちょっと、やらせっぽいね」となりますが、たしかに原稿を吹き込み者が情景を意識して発声しているだけのことですから、そういう意味では「やらせ」かもしれません。
 ただ、どんな場合に用いられることわざ・慣用句なのかということは、文字で書かれた本よりは、ずっと実際に近いと思います。
 ショート・ドラマの直後には、それぞれの「ことわざ・慣用句」の意味も吹き込まれています。
 

 こうした教材は、入手するだけでは何の意味もないので、どこからでもいいので、ぜひ、みんなには聞いてほしいと思います。
 そして、実際に会話のなかで自分でも使ってみることが大事でしょう。音として日本語を学ぶことは、もっと教育現場で多くあってもいいと思っています。英語音声教材にくらべると日本語音声教材は意外に少ないように思えてなりません。








2007年6月9日土曜日

恩師は、ありがたいものです

 先日、久しぶりに帰郷したおり、高校時代の恩師にお目にかかってきました。
 高等学校の3年間、担任であり国語を教えていただいた先生です。もう、今年で80歳になられるのですが、いたってお元気で、車で5~6時間ならご自身で運転して移動されていると聞いてびっくり。
 前回、ふれた「古文研究法」の存在を教えてくださったのも、この先生でした。
 数日前に、お伺いすることを電話でお伝えしておいたものですから、ありがたいことに心待ちにしていてくださり、昔の資料なども、わざわざ探し出して用意しておられました。
 在学当時の写真や、なんと成績表まで保存しておられ、「これが君の成績表で、こちらが大学に提出した調査書だよ。うん、いい成績だ」と出してこられたのには、びっくりしました。
 恩師にお目にかかるのは5年ぶりなのですが、不思議なもので、先生といると、つい自分も高校生にもどったような気になります。たいしたものではないのですが、最近の仕事で書いた本なども近況報告としてお持ちしたところ、非常に喜んでくださいました。
 恩師がご健在であるのは、うれしいことですね。
 この秋には、アケ・パパの同級生が地元の市長選挙に立候補するので、応援になるかどうかはわかりませんが、帰郷する予定です。また、先生にお会いできるのが楽しみです。
 恩師も、「う~ん、彼が市長選挙にね…。うん、うん、当選するといいね」とうなづいておられました。

2007年6月7日木曜日

小西甚一先生を悼んで


 先月、26日、日本文学史の第一人者として著名な「小西甚一」先生がご逝去されました。91歳まで旺盛な研究意欲であったとか。
 小西先生の訃報を伝える新聞記事には、代表著作でもある「日本文芸史」(全5巻)や数々の業績とともに、末尾には、小西先生が著された参考書「古文研究法」のことも記されていました。
 なんと50年以上も古文参考書としてベストセラーであった名著です。アケ・パパも大学受験時には大変お世話になった参考書でした。とにかく格調が高く、寝転がって読むのは気がとがめ、思わず背筋を伸ばして読んだものです。
 実際に講義をきいて教えを受けたのではなくとも、「古文研究法」で小西先生の学識に触れた人は段階の世代から現在40代ぐらいまでの人には多いのだろうと思います。
 だからこそ、新聞記事でも、あえて「古文研究法」のことが付記されたのではないでしょうか。
 たかが受験参考書ではあるのですが、「古文研究法」が説く日本語の奥深さと精緻な理論は、学ぶ者に非常に大きな影響をあたえのではないでしょうか。
 第一線の研究者が、精魂を傾けて初心者のための受験参考書をあらわすことが、いかに偉大なことであるのかを小西先生は身をもってしめされたような気がします。

2007年6月5日火曜日

東大合格者数を増やす秘策?

 私立中高一貫校の状況に詳しい人から聞いた話です。
 昨今の高校生における医学部志向の強さは相当なものがあるようです。
 ずっと東大合格者数日本一を誇る開成での話。
 多くの医学部志望者がいる開成ですが、キャリアガイダンスを兼ねて、医療関係に従事する卒業生をお呼びしてお話をうかがったそうです。それも、僻地医療や緊急救命医療など、厳しい状況のもとでの仕事に従事しているかたがたにお話を伺いました。
 当然、人の命にかかわる仕事の大変さも、そして仕事の厳しさも生徒に伝えられたようです。
 すると、不思議なことに医学部志望者のかなりの数が進路変更をしたとか。
 結果、医学部志望から東大志望へと受験先が変更され、結果として東大合格者数の増加につながったのだとか。
 いろいろと考えさせられるお話でした。

2007年5月31日木曜日

中学受験と面接試験

 最近の中学受験は、世の中の「軽薄短小」傾向に軌を合わせたわけでもないでしょうが、午後入試が隆盛になったり、複数受験が可能な学校がどんどん増えてきています。
 午後入試という入学者選抜方法があらわれてきたこともあって、受験生への面接を省略する学校も多くなってきたように思います。
 進学塾関係者から「受験生、保護者の負担を軽減する」という強い要請があったというお話も聞いたことがあります。面接といっても、5分か10分程度の短時間で受験生の何が判断できるだろうか、ということも面接廃止の原因かもしれません。
 しかし、中高6カ年という短くない時間を過ごすわけですので、可能であれば、ペーパー試験だけではなく、受験生とたとえ短時間であったとしても顔をあわせて話をする機会が入学試験の一部にあってもよいのではないかと思います。もちろん、落とすための面接試験ではなく、どんな先生がおられるのか、そして受験した学校の一面を子どもたちが面接官と直接に話をすることによって得られる何かがあるのではないかとアケ・パパは思っています。

2007年5月25日金曜日

私立中学校で模試を受ける

 そろそろ塾のほうからも夏期講習の予定などが発表される時期となりました。
 また、模擬試験も本格化してきます。
 昨日は、アケちゃんが「どこの学校で試験をうけようか…」と相談をもちかけてきました。
 次の、四谷大塚「合不合判定テスト」の試験会場として、いくつかの私立中学校での受験ができるようなのです。
 本番慣れということもあるでしょうし、もしかしたら受験するかもしれない学校の場合には、絶好の下見の機会ということになるのでしょう。例年、学校によっては、すぐ満員になってしまうのだとか。
 午前と午後に試験があるようですが、やはり人気があるのは午前。実際の入試に少しでも近い雰囲気のなかで受験したいということでしょうね。
 男子の場合には、海城中などが会場として人気のようです。
 アケちゃんは、いろいろ悩んだ末、第1希望の会場が田園調布学園中、第2希望が共立女子中という選択をしました。
 朝、8時30分に試験開始となると、家をかなり早く出なければなりません。
 こうして、中学入試も、すこしずつ現実味をおびていくのでしょう。

ビールを飲む日?

 このブログをサポートしてくれている東京大学理学部の学生さんたちにとって、もっとも楽しい日のひとつが、なんと学部をあげての「ビールを飲む日」なんだそうです。
 小石川植物園が会場となり、理学部の学生も教官も全員が、この日だけは「勉強は禁止」で、講義も休講となり、ひたすらビールを飲むのだそうです。
 昨年、本郷キャンパスに通い始めたアケ・兄が、大学のことを最も熱く話してくれたのが、この「ビールを飲む日」のことでした。
 理学部の全学生が対象で、無料でビールが飲み放題とあって、ビール好きの学生にとっては、こたえられないでしょうね。
 今年は、あのノーベル賞受賞者の小柴先生もご参加になっておられたとか。
 学生のいちばん人気が小柴先生で、皆と仲良く記念撮影に応じられる姿は、まさしく好々爺といった感じだった、というのがアケ・兄の感想でした。
 おもしろい伝統もあるものですね。

2007年5月23日水曜日

レッドカードとイエローカード


 勉強会で、初めて登場したグッズが、「レッドカード」と「イエローカード」です。(右写真、下は今回のテキスト)
 割り箸を利用して、そこに色紙を貼り付けた簡単な構造のものですが、お母さんたちが作ってくれました。
 さて、なぜ、レッドカードとイエローカードなのか。
 それは、わずか6人という少ない人数での学習ですが、そんな人数でも、一人ひとりの子どもたちにとって、今やっている部分が完全に納得できないときもあるようです。ほかの子が、「わかった、わかった」と進んでいるときでも、自分はどうもモヤモヤしていることもあるでしょう。また、進み方が速すぎると思えることもあるはずです。
 そんなときは、そのことを意思表示すればいいのですが、子どもにとっては、なかなかしにくいことでもあります。
 そこで、考えたのが、この2種類のカードです。進み方が速すぎたり、わからないときには、レッドカードを子どもたちが掲げます。「なんとなく、ビミョーにわからない」ようなときには、イエローカードが出されます。
 レッドカードなら、すぐ教えている人がかけつけて疑問を聞きます。イエローカードのときには、ちょっとヒントをもらったりします。
 サッカーのように、審判員がカードを出すのではなく、プレヤーのほうが自らカードを出すとこが、ちょっとかわっているのかもしれません。
 初回ということもあって、子どもたちは、うまくカードを活用することはできていませんでしたが、今後、チームティーチングなどの方式で複数の指導者がいる場合などに、効果を発揮するだろうと期待しています。
 (本当は、学校や塾などでも、こうしたシステムがあるといいのにな、とちょっと思いました。)

「わからなければ、かくしてみよう!」

 今回、勉強会のゲストティーチャーにお招きした「N先生」が子どもたちに、教えておられたことです。
 子どもたちからのリクエストは、「図形の問題」でした。
 基本的なものをはじめとして、辺比と面積比、相似の問題などを、わかりやすくそして、「覚えなくていいよ。覚えることがらは、なるべく減らそうね。そうすれば、得点もアップするよ」と、先生の指導は、子どもたちの負担をなるべく軽減しつつ、考える力をつけていくという方針のようでした。

 その「N先生」がとっておきの図形問題解法として、紹介してくださったのが、「図をかくしてみよう」ということ。
 つまりは、こういうことです。
 問題が複雑になったとき、さまざまな線が錯綜することで、重要な部分がかえって見えなくなってしまう。でも、必要な部分だけ書き抜いた図にすると、すっきりわかることが多い。そこで、試験場でも、筆箱にある身近なもので、部分的に図をかくしてみなさい。消しゴムや鉛筆でいいから、問題図の上に置いてみることで、サッとわかることは多い。その上で、必要があれば、自分で図を改めてかけばいい、ということです。

 目からウロコというか、意外な「解法」のテクニックですね。
 「図をかくすのに、何でかくしますか?」という先生の問いかけに、「指でかくす!」という回答もありましたが、それでは、かえって見にくいですね。筆箱内の小物で図をかくす、というテクニックを少しずつ体得してほしいと思います。
 そうなると、「図をかくすため」のグッズ探しを、アケ・パパはしようと思っています。

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2007年5月18日金曜日

「空飛ぶ中学生」

 引き続き、函館の話題で恐縮です。
 函館白百合と函館ラ・サールを訪問して、両校の先生方から、妙なことばを耳にしました。
 それは、「アニラサ」というもの。
 まったく聞いたことのないことばです。
 内容を聞くと、なるほどとうなづけます。
 それは、「兄が函館ラ・サールに在学していたり、卒業していて、函館白百合に妹が在学している生徒」をさすのだそうです。函館ラ・サールにお子さんを出してみて、その教育効果を実感なさっておられるご家庭がかなり多いという証左のようにも思います。

 首都圏などからの、「兄ラサ」数は、意外に多いとか。姉が先に函館白百合に入学していると、「姉シラ」ということになるのでしょう。「兄ラサ」に比べると少ないようです。
 函館ラ・サールと函館白百合は、距離的にも近く、ともにカトリックを基盤とする男子校、女子校ということもあって、親和性があるのでしょうね。
 
 ともあれ、羽田→函館は飛行機なら1時間ちょっと。羽田まで出るほうが、大変な気がします。函館空港からは車で10分ほどです。
 気になる航空運賃は、ノーマルチケットだと片道25,000円くらいだと思いますが、超ディスカウントのチケットなら片道10,000円のものもあるそうです。また、今回は急な出張だったために利用できなかったのですが、航空運賃とホテルがセットになった「出張パック」もあり、割引率も高いようです(ただし、10日前以前の予約が必要)。
 函館白百合では、首都圏からの保護者の方によって、「函館までの飛行機名人」的なパンフレットが作成されていて、役にたつ面白い資料だと思いました。
 長期休暇の前などには、函館から羽田、関西空港などへの便は、両校の生徒で予約が一杯になってしまうため、帰宅日を微妙にずらして混雑を緩和する努力もされているようでした。
 まさしく、「空飛ぶ中学生」ですね。

2007年5月17日木曜日

学校のお昼……函館ラ・サールの場合

 親元を離れて生活する子どもたちが、どんな食生活をおくるのかは、もっとも気になる点のひとつではないかと思います。
 ちょうど、訪問させていただいたとき、お昼時をはさんでいました。
 寮生600人が一同に会して食事のできる寮の大食堂でランチを食べてみました。
 この日のメニューは、焼きそば、アメリカンドッグ、コンソメスープ、そして牛乳。量はかなりのものでお腹が一杯になりました。お代わりも自由。食べ盛りの高校生などは、自分の好きなだけお代わりをしています。
 そして、北海道らしいと感じたのが、「牛乳は飲み放題」だということ。1リットル入りの牛乳パックがテーブルのあちこちに置かれ、好きなだけ飲むことができます。牛乳パックが空になると、新しいパックが提供されます。成長期の生徒たちにとっては、これはありがたいことですね。
 お味のほうも、美味しいとおもいました。
 目立たないことなのですが、感心したのが、先生方も生徒と同じ物を食べ、寮担当の先生が、食事ごとに、「検食者」として、食事内容、味、量などをきちんとチェックしていたことです。
 600名という数の寮生をあずかる学校としては、細かな部分にも行き届いた配慮をしているのだと思いました。
 ちなみに、この函館ラ・サール中高の学費ならびに寮費ですが、平均して月額10万円程度だそうです。これには、授業料、学納金、寮費、3食の食費、光熱費などが含まれます。
 地方で物価が安いということも影響しているのかもしれませんが、トータル費用としては、リーズナブルであるのではないかと思いました。
 また、女子の函館白百合学園中高の場合も、ほぼ同額の費用だそうです。こうしたコスト面におけるパフォーマンスの良さも、最近、寮のある学校が評価されつつある原因のひとつともいえるような気もしました。

函館ラ・サール中高にも行ってみました

 勉強会に参加している男の子たちにとって、1月入試実施校をどこにするかは、かなり重要なことになるだろうと思います。
 千葉県、埼玉県の各私立中が1月入試を実施していますが、地方の私立中のなかで、寮のある学校も近年、大いに注目されつつあります。

 その代表的な存在が、函館ラ・サール中でしょう。首都圏上位校をめざす受験生にとって、1月初旬に実施される(今年は1月8日)函館ラ・サール中に合格できることは、非常に幸先の良いスタートとなります。

 ただ、親御さんとしては、中1から親元を離れた寮生活に不安は残ります。
 函館ラ・サールの特徴は、まさしく寮生活にあり、なんと600名という大規模な寮です。しかも、中学1年生の寮は、84人部屋です。写真、左上のような特注の作りつけベッドが84台ずらりと並んでいるようすは壮観でもありました。
 日本はおろか、おそらく世界的にもこれだけの大部屋生活を送る寮生活はないと思います。
 この大部屋だからこそ、子どもたちが学ぶところも多く、そして人間関係力がついていくのだそうです。「学校の核心はハードではなく、ソフトだと思います」とご案内の副校長先生がおっしゃっておられました。その自慢のソフトが、寮生活にあるようです。

 もっとも印象的だったのが、写真下の洗濯物の山。これは寮生の洗濯物を整理しているようすです。学校が専属でお願いしている女性たちの手によって、生徒の洗濯物は下着から柔道着まで、すべて、所定の場所に出しておけば、自分の棚にアイロンをかけ、たたんで戻されます。
 何しろ600名の成長期の男子ですから、たいへんな洗濯物の量で、何人もの専属の担当女性が毎日、生徒達の洗濯にあたるとともに、ほころび等をみつけたら繕ってくれるのだそうです。寮費に、この洗濯費用も含まれています。
 おそらく、「洗濯の時間も勉強してほしい」という親の願いを学校側が真摯にうけとめての、方策だろうと思いますが、家庭を離れた子どもたちが、洗濯物を通じて親のありがたみを再確認する機会になっているとともに、細やかな気配りのもと、洗濯物を通して子どもたちを見守っていってくれる存在が身近にいるというあたりに、函館ラ・サールの誇る「教育ソフト」のちからを感じました。
 寮生用の洗濯機を配置したり、洗濯業者への斡旋をしている学校は数多いのですが、寮内に洗濯専門のスタッフをかかえているという学校は他にはないのではないかと思いました。

「寮生活」という選択……女子の場合

 仕事で北海道の函館に行ってきました。
 函館は江戸から明治にかわるとき、もっとも早く開港された港のひとつでもあり、外国からも多様な文化が入ってきたところです。
 学校も、そのひとつであり、今回、ご訪問させていただいた函館白百合学園中学校高等学校は、創立以来、なんと126年という長い歴史を誇るがっこうです。
 東京千代田区九段にある、あの白百合学園の姉妹校ですが、東京の白百合学園より古い歴史をもっていることはあまり知られていません。白百合学園は、全国各地に姉妹校をもっています。その中でももっとも長い歴史のある函館白百合学園です。
 右上の写真は、キリスト教学校の核心的な存在であろうと思われ「お御堂(おみどう)」です。
 けっして華やかではないのですが、静かに一人で施策し、神様とのこころの交流をはかることができるようにと、ここは常に施錠されることなく生徒に開放されているのだそうです。
 
 函館白百合学園の校舎は、歴史を感じさせる落ち着きのなか、ゆったりとした配置で、さすがに北海道だと思わせるものがあります。
 印象的だったのが、下の写真の光景です。これは、職員室の前に設置されたスペースで、ここで勉強したり、先生に質問する場所として用意されているのだそうです。こうした女子校らしい、細やかな配慮が行き届いた学園だと思いました。

 函館白百合学園中は、3年前より首都圏入試を実施しています。1月校入試のひとつなのですが、場合によっては、アケちゃんの試し受験に受けさせていただこうかどうか、そんな思いもあって学校訪問をしてみた次第です。
 もしかして、この学校にお世話になるとすれば、必然的に寮生活となります。そのため、寮もちょっとだけ見させていただきました。中学生の寮は、学校玄関から、ちょうど30歩(寮生の方のお話です)と、学校に隣接しています。雨が降っても傘は不要です。
 ちょうど、夕方近くでしたので、学校から生徒が帰ってきているところでした。寮の玄関では、寮母さんが「お帰りなさい」と一人ひとりに声をかけていて、家庭的な雰囲気のもとで寮生活が営まれていることを感じました。
 また、寮では、お弁当箱を洗っている中2の生徒もいました。聞けば、お昼のお弁当は、寮でつくってくださるのですが、お弁当箱は自分用のものを用意し、洗って寮の食堂に出しておかないと、つくってもらえないのだそうです。細かな躾の面でも、細心の配慮をされているのがよく分かりました。
 ちなみに、お洗濯も自分ですべてやっているそうです。いちばん心配だったホームシックにならないのだろうかという点は、まったくそういう心配はなく、お休みで帰宅しても、寮に戻るのが楽しみでしかたがないという生徒ばかりなのだそうです。

良いテレビ番組

 勉強会ご参加者の「Iさん」のお母様より、届いた情報です。

 「みなさまも御存知かと思いますが、NHKの教育番組でとても良い番組を見つけましたのでお伝えします。
 水曜の午前11時15分より「にんげん日本史」という6年生用のものです。
 かなりソフトな印象の番組ですが、内容がしっかりわかりやすく丁寧でいいです。
 番組ホームページもデジタル教材展開でとてもいいです。アクセスはNHKオンラインより、番組名欄をクリックでな行から最後の方でにんげん日本史、です。
 http://www.nhk.or.jp/nihonshi/ja/frame.html
 ぜひ、お試しください。
 みなさんに宜しくお伝えください。」

 

2007年5月14日月曜日

中学受験「必須アイテム」?

 中学受験に必要なものは数あると思いますが、ご家庭での必需品として、まずあげたいのがストップ・ウォッチです。
 といっても、競技用の本格的なものでなくてもいいと思います。
 もっとも、使い勝手が良いのが、写真のようなキッチン・タイマーです。機能が少なく、数字画面が大きいこと、図の写真左のように立てて机のうえにおけることがメリットです。学習用には、ふつうのストップ・ウォッチのようなヒモ(ストラップ)など不要で、ないほうが使いやすいですね。
 中学受験でどう、これを用いるのかといえば、ひとつは短い時間に集中してものごとを処理するために時間をはかりとるようにしてほしいことがあげられます。
 たとえば、「漢字を10分間練習しよう!」「計算問題を5分で仕上げよう」といった具合に、小学生でも自分で計画性をもってやっていく、第一歩が短い時間の自己管理だと思うのです。

 それが、柱時計や置き時計では、時間計測がしにくくなります。ことに、秋以降の過去問題の演習時に入ると、50分、45分といった試験時間を計りとることが必要になります。そのとき、柱時計などを用いていては、「長針が12のところに来るまで開始を待とう 」というような無駄な待機時間もうまれてしまいます。
 それが、こうした専用のタイマーがあれば、時間のはかりとりが容易です。それを、お家の人にやってもらうのではなく、自ら進んでできるようにして欲しいと願います。

 勉強会では、写真左のタイプのタイマーを、みんなに配りました。所定時間になるとアラームが鳴ります。また、時間設定にピッ、ピッという音もして、最初はにぎやかなこと。うるさいくらいでした。
 さて、ご家庭で、うまく使えているのかどうか、ちょっと心配ですが、意外に慣れてくると子どもは上手にこうした機器を活用できるものです。
 ちなみに、お値段ですが、非常に安価です。ヨドバシ・カメラで、1個¥1,100円でした。

「親の入試」という意味は

昨日は、5月の第2日曜日、「母の日」でした。アケ家でも、アケちゃんが母の日ケーキを購入してお祝いというか、母の日プレゼントのかわりにしました。
  写真の、ちょっと小振りのケーキでした。アケ兄からのプレゼントは、「各種ビール詰め合わせセット」が手紙とともに届けられました。
  中学受験生にとって、「母の日」といってもスケジュールで埋まっていて、多忙のようです。塾のテストが行われ、最初は勉強会を予定していたのですが、お流れになりました。
 「母の日」の最高のプレゼントは、もしかしたら「良い得点の答案」なのかもしれませんね。

 ところで、「中学受験は親の受験」ということがよく言われます。たしかに、そういう側面はあります。でも、それは、親が夢中になりすぎて子どもを不幸にしている、といった批判的に揶揄する表現として用いられることが一般には多いようですが、当事者からすると、ちょっと違うのではないかと思います。
 「親の受験、親の入試」という本当の意味は、「親が寄与することができる受験、入試」という内容だと思っています。もっと成長して高校入試や大学入試では、親の出る幕はありません。でも、中学受験であれば、親が頑張ることが子どもにとってプラスにつなげられるという意味にとらえたいのです。

 ただ、「親の入試」という側面が、「両親の入試」であればいいのですが、ともすれば、「母親の入試」、それも「母親だけの入試」になってしまいがちな面があることを、世の父親はこころしておかなければならないのだと「母の日」に感じた次第です。

2007年5月11日金曜日

円周率の掛け算を覚える

 中学受験の算数で、もし余裕があればマスターしておいてほしいのが円周率の計算です。
 場合によれば、代表的な円周率の掛け算は、結果を覚えておいてはどうか、というのがアケ・パパの提案です。
 「九九じゃあるまいし、暗記には意味がない」という反論も聞こえてきますが、実際問題として、もし覚えられるものなら、覚えてしまうことは、役にたつことはあっても邪魔にはならないのではないでしょうか。
 2×3.14     3×3.14  25×3.14 …… 81×3.14 など、合計20種ほどの円周率の掛け算結果を覚える方法を勉強しました。

 たとえば、4×3.14 であれば、「しっかりと、12時ごろにお昼です」
                       4      12  5 6   という語呂に合わせて、12.56を覚えてはどうかという提案です。
 そして、可能なかぎり、その語呂の状況を絵にしておぼえようとしたものが、前回の写真です。
 子どもたちは、すぐに覚えてしまっているようで、勉強というよりは遊びの感覚がいいでしょう。

 人気のある語呂は、「ヤクザな双子、銃に死す(8×3.14=25.12)」でした。
 大人は、「やっと双子も12になった(8×3.14=25.12)」と語呂合わせをしたのですが、子どもたちは「ヤクザな…」の方がお気に入りのようす。

中学受験とカード利用


 習った事項を、どう整理していくかは、小学生の学習においては、非常に大切なポイントだと思います。
 一般にはノートにまとめることが普通でしょう。
 もちろん、それが基本ではあると思うのですが、かならずしも、ノートがベストとは思いません。
 それは、どれが大切であるかが形のあるものとして認識しにくく、再びノートをみる機会は非常に少ないからです。
 
 そこで、私たちの勉強会では、大切なポイントはカード化して子どもたちに渡すことにしました。
 このカードは、一昔、いやもう二昔前になるでしょうか、京都大学の梅棹忠夫先生が岩波新書『知的生産の技術』で提唱され、学問を志す人びとの間で瞬く間に普及した「京大型カード」とよばれたものです。サイズは、B6版、ふつうのB5版大学ノートを半分にした大きさで、ちょっと厚みのあるもの。
 アケ・パパが学生のころは、本を読みながらメモしたり、論文を書くための資料整理などに、1項目、1枚のカードにせっせと書いていったものです。
 現今では、パソコンでのデータベース作りが容易になりましたので、研究者がこうしたカードを多用することはないようですが、中学受験においては、場合によるとノートより、このサイズのカードのほうが有益なことも多いと思います。
 カードであれば、時々見直すこともできますし、不要になれば削除することも容易です。
 左端に2穴の綴じる部分があり、小学生が自分で管理するのもかんたんです。

中学受験とカード化

「お父さんが教える」ということ

 中学受験に関しては、塾まかせでは、なかなか所定の効果がでないこともあります。
 非常に残念なことではあるのですが、中学入試の質的な変化と、公立小学校における修得度が、以前にくらべると格段に落ちてきていることが、家庭でも少し勉強していったほうが、より良い効果が上がるということだと思います。
 
 さて、では、どうやって家で教えるか。
 書店にいけば、数多くの中学受験体験本が並べられ、どれにしようかと迷うほどです。
 そうした体験本については、またの機会にふれますが、中学入試のキモともいえる「算数」を、どう教えていくかについて、読者をお父さんに絞って著された書としては、写真の『お父さんが教える算数』が出色の出来だと思います。
 同書では、奇抜な解法は一切せずに、算数の常道で解答にいたる手法で説明されています。
 これは、技法、解法が大流行の首都圏中学受験状況のなかでは、なかなか貴重な点でもあると思います。というのは、まず算数できちんと筋をおって理解してから、いろいろな技法の意味がでてくるからです。
 子どもと勉強していると、かならず出てくることば。
 「お父さんの解き方は、塾とちがう!」
 よくあることです。
 慣れないと、こんな子どものことばに、おじけづいてしまいがちです。
 しかし、この『お父さんが教える算数』の解法であれば、きわめて一般的であり、そうしたお子さんの反応に対応できる内容です。
 実際に、お子さんにご家庭で教えるかどうかは別にして、ぜひご一読いただく価値のある書だと思います。



2007年5月10日木曜日

中学受験と「著作権」

 いま、中学受験の世界で大きな課題となっているのが、「著作権」問題だそうです。ことに、国語の入試問題に使用される長文の著作権をどう保護していくか、ということのようです。
 つまり、入学試験での利用は著作権法も許容する「教育活動」として、無償かつ許諾なしでの使用が認められるのですが、入試が終わったあと、各私立学校などが「これが本年度の入試問題です」ということで、次年度募集のツールとして自校の入試問題を配付することは、「教育活動」ではなく、募集活動なので著作権の侵害になってしまうのだといいます。
 児童・生徒に法の遵守を教えていくべき教育機関が法規違反をするわけにはいきませんから、最近では各校とも、この問題に非常に神経質に対応しているようです。著作権者の団体等と話し合い、一定の方式をもって著作権者に著作物の使用料を支払うような仕組みができているとも聞きました。
 2年前だったでしょうか、武蔵中の国語入試問題が学校から発表されたとき、驚きました。著作権法を厳格に守って、長文問題の引用部分は一切カット。あるのは、学校が作成した「問1 傍線部①における主人公の心情を自分のことばで述べなさい」という部分だけでした。いかにも武蔵らしい著作権問題への意思表示だと塾の先生方の間では話題になったそうです。法律は遵守しなければなりません。しかし、あまりに狭隘な姿勢を貫きすぎると、実情にそぐわない結果にもなりかねません。

 まあ、そういう難しいことは置いておくとして、この著作権問題は、私立学校だけではなく、一般の進学塾や参考書・問題集などについても該当することです。いや、むしろ塾などの方が営利活動を前提にしているだけに、著作権者からしたら侵害の程度が著しいとうつるかもしれません。
 となると、わたくしたちの勉強会においても、たとえ無料で自発的にやっているからといって、安易にコピーしたりすると、他者の著作権を不当に侵害することになるのでしょうか。

 友人の弁護士に茶飲み話の際に尋ねてみると、「個人的使用は例外規定にあたるのだけれども、6人が集って、そこでの教材ということになると、おそらく著作権の侵害になるね、厳密には。それが、6人の親がいて、一人ひとりで、自分の子の分だけコピー機を操作してコピーしたというなら、個人的使用であったといえるだろうけれども、だれかがまとめて6枚コピーしたら、それは無理だということになってしまう」
 「どうして、そんな誰がどうコピーしたかに、こだわるんだい。結果的には同じなのに」
 「それは、学校での事例なんだけど、公教育では他者の著作物の複製を使用することは著作権法で許容されている。でも、それは授業担当者が自らの教場において学習者分を自ら複製する場合にかぎられる。つまり、学校で1組と2組があって、国語の副教材にある文学作品を2クラス共通で使おうとしたとき、1組の先生が2組の分もいっしょにコピーすることはできないわけだ」
 「えらく、現実離れした解釈だね。それじゃ、教育活動には使えるといったって形だけじゃないか」
 「そうなんだ。もし、図書館司書の人が、1組と2組の先生にかわって図書館の本を2クラス分コピーしたとすると、それはマズイということになる。司書は、直接の授業担当者ではないから」

 なんだか、小難しい話になってしまいましたが、もしかしたら著作権法の規定そのものが、これだけ複写機が普及した時代を想定していなかった時期の法制化だったことも関わっているかもしれません。
 著作権者の権利は守っていくべきですが、教育や時代を担う子どもたちの教材利用のためには、ある程度の幅をもって利用できる余地を考えていくのも、大人の責務ではないかと思います。教育基本法の改正に熱心になる前に、著作権法における教育利用の活用余地を広げる法改正こそを真剣に論議しなければならないのではないでしょうか。著作権者である著作家さんたちも、教育の場で自作が採用されなくなることは、長い目でみると将来の読者を失うことにもつながり、大切な言語文化の伝承を自らの手で抹殺することにもなりかねないのではないかと思います。

 と、難しいことを書いてしまいましたが、要するに、今回のような規模で他者の著作物を利用させてもらおうとする場合、その対価を支払いたくても方法がありませんし、算出の手だてもありません。
 そこで、私たちの勉強会では原則としてコピーは使用せずに、見栄えはしなくとも、自作教材を基本において進めていくことにしました。国語の教材の場合には、書籍そのものを各人の分をこうにゅうしたり、プリントでは著作権のきれた古い作品を選ぶことになるでしょう。

「つかみ」は「白子海苔」でした

 勉強会における最初のテーマは、「は・の・に」を楽しく覚えることでした。
 これは、「○は□の△にあたる」 というような表現がよく算数ではなされます。非常に平易で受験生なら、だれだって瞬時に解答がでてくるものだと思われがちですが、成績中位の子たちにとっては、「どっちがどっち?」と混乱してしまう例も多くあります。
 かんたんな数値におきかえてみれば、すぐに分かることなのですが、これを一発で計算式にすることができるのが、「は・の・に」です。
 写真は、勉強会でみんなに配ったカードです。文字が細かいので、見にくいときは画像をクリックしてみてください。ふつうのプラウザであれば拡大して見ることができるはずです。
 当たり前のことではあるのですが、問題文の助詞である、「は・の・に」に着目すると、常に、「は÷の」、「の÷に」の関係がなりたちます。じつは、これを記憶すること自体には、ほとんど意味がないのですが、その覚え方に奇想天外な方法を導入することで「つかみ」にしようとオジサンは考えました。

 その小道具が「白子海苔」です。つまり、「は・の・に」っていったって、それは覚えることはできないでしょう。また、仮に一時的に覚えたとしても、すぐに忘れてしまうはず。これを絶対確実に覚えるためのツールとしてアケ・パパが選んだのが「白子海苔」です。
 勉強会では、「白子海苔」のパックをとりだし、1人2枚ずつ手に取るようにいいました。そして、「さあ、『歯』 『海苔』『2枚』だから、みんな歯に海苔を2枚貼り付けてみよう!」と。
 みなさん想像がつきますか? あのご飯に載せて食べるサイズの味付け海苔ですが、それを歯に2枚どう貼り付けるか、かなり珍妙な図ではあります。それぞれ恥ずかしがりながらでしたが、海苔を口にして、友だちの様子をみて大笑い。
 「は÷の」、「の÷に」なんて覚えようとしても、頭に入りにくいのですが、「歯に海苔を2枚ひっつけた」ことを思い出すなら、「は・の・に」の順を記憶するのは、そう困難でもないはずです。

 さて、ここでのアケ・パパのこだわり、それは「白子海苔」であったところです。どこの味付け海苔だっていいのでは、とお考えの方もおられるでしょう。それは、いいのかもしれませんが、やっぱり子どもの心理ということを考慮すると、これは「白子海苔」がベターなのです。子どもたちがTVコマーシャルなどを通じて熟知しているブランドでもあるからです。本当に些細なことですが、こうしたディティールにこだわって小道具を探したりするのが、結構、楽しみの部分もあったりもします。
 とはいえ、ふだん買い物をあまりしていないアケ・パパにとって、「白子海苔」がどこで入手できるのか分かりません。「流水算」や「ニュートン算」をしのぐ難しさ。ビジネス街にはスーパー・マーケットはありません。結局、会社のお姉さんに頼んで買ってきてもらったという、だらしなさでした。

 「歯に海苔を2枚貼り付けた」後、当然のように、「この海苔、食べてもいいですか!」という大きな声がかかりました。
 しめしめ、これで、「つかみ」は成功のようです。

「ラ・サール」からの使者

 勉強会、初のゲスト・ティチャーは「K先生」。東大文科Ⅱ類在学中の学生さんです。
 「K先生」は、福岡県の出身で鹿児島ラ・サール中高を経て現役で東大に入学された人です。
 大学でアケ兄と同じサークルに属し、小学生のみんなと勉強するには最適の人物というアケ兄の推薦もあって、ゲスト・ティチャーにお招きしました。
 アケちゃんは、昨年の五月祭で顔を合わせているのですが、他の5人の男の子たちは初対面です。その風貌が九州男児らしいキリリとした顔つきで、アゴヒゲもちょっと蓄えているため、一見、こわそうに見えたようです。
 でも、勉強を始めてみると、優しいお兄さんであることが分かり、すぐに親しく先生に語りかけるようになりました。
 やっぱり、受験生にとって、「ラ・サール」の名称は、ふだんから塾のテキストや問題集で見慣れた校名です。そして、難しい学校らしいということも知っています。
 みんなから自然に付いたあだ名は、「ラ・サールからの使者」でした。
 テンポの良い説明と、「は・じ・き図」を活用した解法の紹介に、みんなも納得しながら算数の勉強ができたように思います。

 その「K先生」のことばが印象的でした。
 「大学生になってから、家庭教師や進学塾などで教えていますが、意外に基本的なことが習得できていないまま、入試問題レベルに挑戦している、いやチャレンジさせられている子が多いのが気になることがあります。その基本っていうのは、易しいというのと、ちょっと違うと思うのですが、たとえば、3/4と6/7とどっちが大きいかというような部分が感覚として身についていないまま、算数問題を解かなければいけないのって、可哀想だなと思うこともあります」

 わたくしたち親は、この「ラ・サールからの使者」のアドバイスに耳をかたむけるべきだと思います。

「消しゴム」と「ビール」は高い方がいい?

 「割合」を理解するためのカードですが、1回書き込んだ後は消しゴムで消して再利用します。すると、どうしても、うまく消せるかどうかは、「消しゴム」の性能にかかってくる部分も多いのです。
 よく、お母さんがたは、「消すんだったら、丁寧に消しなさい」とお子さんに厳命なさるのですが、いえいえ、弘法も筆を選ぶわけで、「消しゴム」だって性能に差はあるのですね。むしろ、ものすごく大きいともいえます。
 そこで、イチオシは、写真の俗称「カド消し」です。これまでの消しゴムの常識を破って1つの消しゴムが直方体形状ではなく、たくさんの空間があります。でも、ここがミソで、角がたくさんあるために、常に新しい角で消すこともできるものです。
 難点は、ちょっと価格がお高いこと。高いといったって120円だそうですから、まあ納得できる価格といえるのではないでしょうか。
 勉強会のみんなは、早速、「カド消し」の威力を「割合カード」で試していました。評判は良いようです。
 ところで、いま、アケ家でのマイブームは、プレミアム・モルツというビールです。アケ兄が帰宅したときなど、「学生には発泡酒しか買えない。家に帰ったらプレミアム・モルツがいい」と言うものですから、もっぱら、この銘柄を愛飲しています。ただ、お値段は他のビールより少し高いらしいのですが、「消しゴム」と「ビール」は高いほうがいいと、決めつけています。

 

「割合」を体得する小道具

 勉強会では、子どもたちのリクエストを中心に、まずは算数の基礎基本をマスターしていくことにしました。
 まずは、「速さ」。旅人算だの流水算だの、子どもたちが悩まされているさまざまな文章題があります。
 それらを確実に理解する前提となるのが、「割合」に対する常識的な知識の習得です。大人にとっては何でもないことが、現代の小学生には意外に見えない壁となっていることが少なくありません。
 それは、小数、歩合、百分率の相互の関係が、なんとなくは分かっているのですが、常に正しく判断できているかといえば、そうではないタイプの児童が多そうです。もちろん、理解力が速く、偏差値で60UPの子どもたちは、この壁は越えていますので、ほとんど意識しなくていいレベルです。しかし、今回の勉強会に集っている圧倒的に多い層の受験生には、たとえ小学校6年生であっても、「小数、歩合、百分率」の相互関係を改めて復習し、体得しておく必要があります。
 そこで、一般的に塾などで使われるのが、写真(左上)のかんたんな表です。
 小数、歩合、百分率のいずれかの数値を書き込み、あとは、その数字をそれぞれ上下にきにゅうすると、この3種の割合が一覧できます。
 もちろん手書きだっていいのですが、ワープロソフトで罫線をひいてつくってみました。
 早速、実践です。「6割5分」を記入すれば、そのまま「0.65」「65%」とすぐにわかります。そして、消しゴムで消せば、次の数値を書き込むことができます。
 この日、ゲストティーチャーとして来ていただいた東大生のKさんに、問題を出してもらいました。その数値は、なんと「245割」を小数と百分率ではどうなりますか?というもの。左側の欄が足りません。それでも、なんとか右下写真のような記入によって、みんなが正解に達することができました。
 こんな表は、一昔前は、どこの塾でもやっていた手法なのですが、あまりに簡単なことなので、黒板で説明することはあっても、子どもたちに利用できる形状で手渡すことは行われていないようです。
 「形にしないと伝わらないもの」もあるのではないかと、アケ・パパは考えます。

2007年5月9日水曜日

「先生」と呼ばないわけは、

 私たちの勉強会では、たとえ勉強を教えるのであっても、仲間の親を「先生」とは呼ばないでおくことを申し合わせました。
 どちらでもいい些細なことですが、大事なことだと考えます。
 勉強会は、塾ではありません。自ら進んでやってきて、仲間と勉強する機会です。先生に頼って教えてもらうという基本姿勢に立ってほしくないので、教えるお父さん、お母さんを「先生」とは呼んでほしくないのです。
 「アケちゃんのお父さん」であり、「オジサン」と呼んでもらうようにしました。

 そして、これは子どもたちが今後、塾に帰ったときにも関係すると思います。「勉強会」では、なにも制約がありませんから、学習理解に役立つと思えば、なんでも教えてしまいますし、知識や技法伝達の面では、一切遠慮はしないで進めることができます。
 たとえば、高校段階で学習する「メネラウスの定理」も、かみくだいて小学生に教えることで、部分的に辺比の活用が可能になります。(小学生には、メネラウスなんていいません。一般にこれは、「キツネの魔法」と呼称され、理屈は何もわからなくても、あっさり子どもたちはマスターしてしまいます。図形を学習するときに、ちょっとだけ教えようと思っています)
 ところが、そうした種々の知識や解法を身につけた子どもたちが塾に帰って、その手法を使ったとしたら教えておられる塾の先生は、どんな反応をなさるでしょうか。考えられるのは、「どこで、そのやり方を習ったの? 誰から教わったの?」という問いかけがあることでしょう。子どもは正直ですから、「勉強会で○○先生から教わった」と答えるでしょう。
 その場合、プライドの高い塾の先生としては、きっと不愉快な印象をお持ちになられないとも限りません。先生ショーバイの性というか、どうしても、そういう反応のが無意識のうちに出てしまいがちです。
 それが、「アケちゃんのお父さんに教わった」「変なダジャレ好きのオジサンが教えてくれた」という答えであったら、幾分かは塾講師の気持ちは違うはずです。「この子の周囲に、ちょっと中学受験を知っている大人がいるんだな…」程度の認識で終わるはずです。
 この違いは大きいと思います。どうしても、現今のような進学塾システムの中では、塾講師が受験生を抱え込むようなかたちになりがちで、実際は抱えられていないにもかかわらず、他で何らかの指導を受けているのを嫌がる無言の雰囲気があるからです。
 ちょっと、心配しすぎかもしれませんが、アケ・パパは、こう考えて、「先生」と呼ばないように子どもたちに、語りかけています。

 もちろん、アケちゃんは、家でも勉強会でも「お父さん」で通しています。塾で聞かれたら、「お父さんに教わった」と答えるでしょうが…。

 「先生」でないことの最大のメリットは、気楽に間違うことができることもあげられます。「先生じゃないんだから、いつ間違うかわからないぞ。計算ミスなんか、当たり前、しっかり確認しておけよ」と言い放つことができる方が、じつはメリットが大きかったりもして…。

閑話休題……ブログ開設こぼれ話

 「勉強会を楽しむためには、現在進行形でブログ発信するといいですよ」とは、最初に相談したM先生のアドバイスでした。
 ご参加の保護者のみなさんにも情報共有しつつ、ゆるやかな連帯のためには文明の利器であるネット活用は不可欠だと思います。中学受験というような、首都圏で16%という多くの人が参画している事象ですので、ご関心のある方々への情報発信には大きな意味があるだろうと思いました。
 しかし、課題はそのスキルです。アケ・パパも会社ではHPをもち、その部分でのビジネス上での利点も承知していますし、今やパソコンやeメールなしでは仕事もできない状況なのですが、仕事上のHPなどは完全に業者丸投げで、ああだこうだと注文をつけるだけ、自分でゼロから作成したことなどありません。
 そこで、いつの間にか、アケ・パパよりITには詳しくなってしまったアケ兄に、「ブログを作りたいのだが、どうしたらいい」とメールで相談しました。アケ兄が、いろいろ調べてくれて、このブログ開設となりました。

 アケ兄のアドバイスは、こうでした。
 「いま、中学受験は、かなり熱くなっているよ。話題と内容しだいだと思うけれど、これだけ関心が高いテーマの場合、セキュリティーに関して無関心だと、すぐに『荒らし』の標的になってしまう危険が高いと思う。まあ、心配ばかりしていても仕方がないけれど、常にITのもつ危うさは認識して、コトにかかるべきだと思うな。それで、どこにブログを開くかだけれども、国内で著名なサイトを利用するのは簡単だけれども、防御のセキュリティーの点では不安がある。だから、あまり知られていないkれども、海外生まれの優れたサイトで無料で作れるのがあったから、これにしたら」と紹介してくれました。

 顔に似合わず、妙なところで細心の注意をするアケ兄ですので、「老いては子に従え」で、アドバイスを守って、ブログ開設となりました。
 このサイトは、Webメールでは、gmail というフリーメールを提供してくれている会社が運営しているもので、Bloggerという名称です。アケ兄によると、2003年にGoogleに買収され、米国では定評のあるサイトのようです。
 使ってみると、意外に使い勝手がよく、これならブログ初心者にも続けられそうです。ただ、米国生まれということもあり、分からないときの手順については、英語ページを参照するほうが日本語の説明より早いというあたりが、個性的ともいえるかもしれません。ブログへの写真のアップ方法でちょっと苦労していたのですが、アケ兄より、「ここに書いてあるよ。英語だけど」とメールが来ました。それを、ちょっと読んだだけで、すぐにアップの方法が理解できました。いろんなマニュアルもそうですが、どうもユーザーに優しくないマニュアルが多すぎますね。

 ちなみに、Google が運営するフリーのWebメールである gmail は、フリーなのに優れものだと思います。アケ兄との連絡に使いはじめたのですが、迷惑メールが皆無で、やりとりごとにツリー化されることと、容量が他とは桁違いに大きいこともあり非常に便利です。

小道具に凝る

 「オジサン勉強会」ですので、教える技術にたけているわけでもありませんから、子どもたちの興味を喚起できるように、凝るのは小道具です。

 第1回の勉強会で子どもたちに紹介したのが、 社会年代暗記のCDです。
 じつは、これ10年以上前に、アケ兄があまりに歴史が弱いので、それならと「語呂合わせでの歴史暗記」をさせたい、ということで作られたものです。最初はテープでしたが、時代の変化とともにCDとなっています。
 
 別に中学受験では年代そのものを記憶する必要はありません。「○○が起こったのは何年ですか」というような設問はありえないでしょうから。
 しかし、大きな歴史の流れをつかんでおくことは必要です。細かく覚えなくてもいいので、「12世紀の初頭に何があったのか」というような大づかみはしておいてほしいのです。
 そのために、このCDのように軽快な音楽とともに歴史を耳から入れておくことはしてほしいと思って、勉強会のみなさんにはご紹介しました。

 アケちゃんは、連休中に帰宅していたアケ兄によって、愛用の「iPod」に入れてもらって聞いています。このあたりが、現代っ子を感じるところですね。
 お気に入りは、1378年「足利義満が京都に幕府を開く」で、語呂は、「義満は御所の人(1)見(3)てナンパ(78)する」です。
 「ナンパなんて、キョーイク的じゃないよね」といいながらも、ときどき聞いています。そういう反応をするのは男の子と女の子の違いかもしれません。精神的な成長度は、やはり女の子の方が早いようです。
 いいんです。検定教材じゃないから、文部科学省にお伺いを立てなくても。

 勉強会では、このように、できる限り小道具に凝りながら、親も遊んでしまおうと思っています。
 このブログを見てくださる方にお役にたてばと思い、勉強会で使用した小道具を写真とともに出来る限りご紹介していければと思います。

クラブツーリズムという考え方

 「中学受験もクラブツーリズム的な、ゆるやかな親の連帯のなかで進められるといい」というのは、以前、ご紹介したM先生の持論です。
 「クラブツーリズム」とは、旅行に行くとした場合、消費者である旅行者が主体となって旅行を組み立て、それぞれの目的に沿った旅をつくりあげようというものです。
 日本人の海外旅行を例にとってみれば、「JALパック」ではじまったといわれる海外旅行も、今では格安航空券を活用して個人手配の旅行が主流となりました。その背景には、個々人のニーズに旅行会社が対応しきれなくなっただけでなく、その方がコスト的に割安にもなることに人びとが気づいたからでもあるでしょう。
 現実に、旅行をテーマにした同好の士が集う場所は数多くあります。そこでは、利害関係はなく、ただたんに旅が好き、特定の目的地が好き、ということで人びとが集いあっています。

 それと同じように、中学受験においても同じ目標に向かって旅をする仲間が、ゆるやかな連帯のなかで共々に交流しあえればいいのではないか、というのがM先生のご提案骨子だと理解しています。

 じっさい、これまでも、このご提言を具体化された方々は、少なくありません。
 数名で場所を確保し、先生を見つけてきて教えていただくとか、等身大の入試情報を得るために保護者が集まって受験講演会を開催したりと、さまざまな形で保護者が協力された事例を耳にしております。中学受験を通じて、新たな人間関係が構築できるとともに、同じ悩みを共有し、中学校進学後もそれぞれの立場で情報を交換しあったりして交流されておられるようです。

 こうした、クラブツーリズム的な輪をもっていくための秘訣は、リーダー的な存在がいらっしゃることと、非営利を貫くことが大切だと思います。

 じつは、「アケ・パパ」は、趣味が海外旅行です。それもハワイが大好き。仲間とともに、「アロハクラブ」という文字通り「クラブツーリズム」に参加しています。発足以来、10年以上が経過しますが、一切の利害関係とは離れたところで、お付き合いできる多くの皆さんがおられることは、自分の財産だと思っています。職業や住まい、立場がまったく異なったところにおられる方と接する機会がもてることは、人生の彩りを豊かにしてくれるような気がします。

 そのハワイ。今年はダメそうです。
 「夏休みの8~10日くらい、塾の夏期講習を休んだって、どうってことないだろう。ハワイで勉強すればいいじゃない?」というアケ・パパの発言は、「何を言っているの。10日も講習を休ませるなんて、受験生の親失格です。お兄ちゃんの時も、受験学年では旅行はしませんでした。第一、先立つものは、どうなんですか。今年一年間の中学受験費用は100万円は超えると思いますよ」という、アケ・ママの論理的かつ現実的な反論によって一蹴されてしまいました。夏休みハワイはGW明けの5月中旬には、航空券の手配だけでもしておかないと実現はかなり難しいのですが…。

 でも、おかしいですよね。年に一度の家族旅行が、たかが中学受験くらいのことでフイになってしまう現実をみなさんは、どうお考えでしょうか。
 中学受験に要する費用が100万円を超えるというのも、知ってはいましたが、「う~ん」と唸るしかない金額ですね。「アケ兄」の大学授業料の倍ですから。

「捨てる」勇気を持とう!

 6人で始めることになった勉強会。
 それぞれのが通っている塾も異なります。
 Y、N、Sといった、いわゆる大手塾から、フランチャイズ方式の進学塾や、大手塾から独立した先生が創設した小規模塾まで多彩です。けっして、意図したわけでもないのですが、さまざまな塾からの参加で、自然に現今の首都圏中学受験状況が、この6人を通じて進学塾事情をかいま見られるのではないかと思います。

 お母さんたちのお話に共通していること。
 それは、塾で与えられる分量の多さ。教材にしても、宿題にしても多すぎてこなせない、でも、次から次へと波のように押し寄せる。消化不良のまま、時間だけが過ぎていく。果たして、これでいいのだろうか。そりゃ、良くないと思います。塾が材料を提供してくれるのは、ありがたいことです。ただ、何を採用し、何を捨てるか、それは各自の判断に任されているのではないでしょうか。
 たしか、一時、ベストセラーになった新書に『捨てる技術』というタイトルの本がありましたね。中学受験でも言えることで、どううまく「捨て」ていけるかがポイントだと思います。
 ふだんの学習だけでなく、入学試験会場においても、捨てる問題があっても構わないと思っています。できるものを確実に得点していけば、合格点には達するのですから。

手伝ってくれるスタッフのみなさん

 この勉強会の趣旨をご理解いただき、お手伝いをお願いした皆さんがいます。
 それは、「アケちゃん」の兄が在学する大学の皆さんです。
 「アケ兄」は、現在・東京大学理学部に在学し、東京の西からは通学に時間がかかりすぎ、実験・研究に支障があるということで、大学の近くに部屋を借りて一人住まいをしています。その「アケ兄」の同級生やお仲間に、時間があるときにはお手伝いをお願いすることにしました。
 ほとんどの学生さんが中高一貫校の出身で、中学受験を経験していますから、その大変さも、そして自分の経験からのアドバイスもしていただけるでしょう。

 また、なかには、中学受験を趣味として徹底的に研究し、中学受験用の書籍まで執筆してしまった強者もいます。Tさんという学生さんで、「アケ兄」と同じ学部学科に在籍しています。中学受験算数の専門サイトを開設し、HP上でも活躍しておられます。
http://www.t-tsushin.net/

『お父さんが教える算数』(ダイヤモンド社刊)という、ご自身がお父上から教えられた算数の経験をもとに、父親が算数を教えるノウハウを具体的に説明した好著です。Tさん兄弟は、お父さんに教わった算数がきっかけとなって、後に兄弟2人とも東京大学に進むことになります。

 このTさんのサイトでは、特殊算の解説と例題が掲載されていますので、今回の勉強会でもこちらの問題も一部、お借りして教材とさせてもらおうと思っています。
 そして、ときには、著者のTさんご自身にもゲスト・ティーチャーとしてご登場いただこうと思います。

事前の打ち合わせを

 4月下旬、5月のGWから開始予定の勉強会に向けての打ち合わせを保護者の皆さんにお集まりいただいて行いました。
 勉強会の会場は、千代田区神田にある、「アケ・パパ」の会社の小会議室。大テーブルの周囲にイスが6脚なので、定員を6名としました。じっくり一人ひとりの到達度をみながら勉強していける限度と思ったからです。
 
 皆さんと相談したり、お願いしたのは以下のことでした。
 1)塾ではないので、費用はいただかないこと。
 2)勉強は「アケ・パパ」が主に進めるけれども、「先生」ではなく、「アケちゃんのお父さん」、オジサンであって、「先生」とは呼ばないこと。(後日、触れますが、意外に大事なことかも)
 3)ゲスト・ティーチャーを招いたときには、謝礼をみんなで分担すること。
 
 さてさて、どうなることやら…。
 でも、教材を用意したり、何をどう勉強しようかと考えることも、意外に楽しいことです。
 M先生がおっしゃるように、「中学受験を楽しまなくては、成功した受験とはいえない」と少しですが、思えるようになってきました。

「勉強会」という選択肢を

 家庭内で継続しがたいのは、他者とのかかわりがないからだと想います。
 親子学習のむずかしさは、互いに甘えが出たり、必要以上にストイックになりがちなことです。できないと、つい厳しすぎる言葉を発してしまうのは、どなたもご経験があるのではないでしょうか。
 そこで、お仲間を募って、ほかのお子さんも一緒に勉強することを考えました。
 でも、同じ塾のかたや近所のかたでは、きっと集まりにくい面もあるかもしれません。まったく面識もない人で、同じくらいの到達度のお仲間が複数お集まりいただけないものか。

 そんな発想をもって、中学受験状況に詳しいM先生にご相談したところ、「保護者の方を対象にした講演会があるので、その会場で募集のチラシをお渡ししてもいいですよ」とのお話でした。
 では、早速、お願いしようと、「親の自主勉強会のお知らせ」を配らせていただいたのが4月の半ばです。
 妙なチラシにしました。なるべく目立たないように文字だけ。条件は、成績中位であること、偏差値では50近辺。

 電話とメールでのお問い合わせとしましたが、ご希望者がたくさんおられるのにはびっくり。
 塾ではありませんから、何の実績もありません。勉強会とはいえ、指導者の力量が問われるものでしょうから、反応がそうあるとは思っていませんでした。ところが、予想に反して、数多くのお問い合わせです。現在の成績をうかがうと、みなさん優秀です。「でも、基礎基本をじっくりやりなおす機会があるなら、ぜひ参加させてください。費用はお支払いします」とご熱心な様子。
 「いや、営業ではなく、うちの娘と同じくらいの到達度の方を募集させていただいておりますので…」と丁重にお断りすることがつづきました。
 それでも、2日間もしないうちに、5名のかたがたで条件に合致するメンバー候補がさだまってきました。
 一度、お集まりいただいてご相談をさせていただくことになりました。


 

「10年ひと昔」とは言いますが…

 じつは、わが家の中学受験は今回が初めてというわけではありません。もう大学生になっている兄がいて、10年前にすでに経験済みなのです。
 でも、この十年ですっかり様相が変わったことを実感しました。

 勉強は塾に任せて、親は健康管理とモチベーション維持につとめればいい、というのは昔の話。
 いまの時代、必要に応じて家庭でも勉強を見ていったほうが良さそうです。もちろん、塾のペースに乗りきって難関校を突破していける力強いお子さんもおられるでしょう。でも、娘は違うようです。ものすごいスピードで進む塾の授業についていけているのかどうか、毎週実施されるテストに追われ、金曜日、土曜日の週末は表情も暗くなります。塾から帰ったあとも、テストに備え、その週の出題範囲を必死で勉強しています。でも、頭に入っているかどうか…。

 「お兄ちゃんのときは、こんなに苦労しなかったのに」と、母親は言いますが、子どもはそれぞれ個性があり、理解の早さにも違いがあって当然。だからといって兄が優秀で妹がダメとは決めつけられません。
 娘(アケちゃん)のパパは考えました。
 では、親が基礎を教えよう。塾のカリキュラムや進度はどうでもいい。基礎基本がしっかり分かれば、かならず入試に役立つ。入試に間に合わなくたっていい。中学受験の勉強をしたことが、本人にとってどこかでプラスになるならそれでいいと。

 ただ、課題は、飽きっぽい「アケ・パパ」のこと。どこかで、「え~い、面倒だ、やめ、やめ」となるであろう危険性のあることです。いや、おそらく、そうなるでしょう。家庭内の約束事というのは、なかなか守られないのが、わが家の伝統です。

どうして中学受験がこんなに大変なの?

 小学校6年生になった娘がいます。来春の中学受験をめざして、進学塾に通い、本人なりに一生懸命に勉強しているようすですが、成績のほうは、あまり芳しくありません。
 「小学校3年生から塾に通い、好きなピアノもやめて…」、母親の嘆きです。
 「高いお金をはらって、塾に行っているのに、あまり理解していないみたい。ちょっと、勉強を見てやって」
 「いや、仕事で疲れて帰ってきて、親が教えなきゃいけないのか…。なんのための塾なんだ」
と、言ってみても始まりません。
 よく理解できていない娘に非がないとはいいませんが、少し勉強を見てみると、ほんとうの基礎がわかっていないことが判明しました。理解力がないのではなさそうです。

 さてさて、どうしたものか…。
 
 こんな想いから始まるブログです。