2007年6月19日火曜日

公立中と私立中の違いを痛感

 たまたま機会があって、公立中と私立中の両方を見学してきました。
 公立中のほうは、校長先生が熱心に学校改革を進めようと努力なさっておられる真っ最中。
 いろいろと難しい諸問題をかかえながら、ひとつひとつ課題をクリアするために奮闘中といった状況でした。安直に「荒廃」といった表現は使いたくありませんが、未来を託する子どもたちの生活空間としてこれでいいのだろうか、という素朴な疑問を抱いたのは事実です。
 だからこそ、この公立中では改革を推進しようとなさっていたのですが…。

 また、私立中の方は、今年新たに開校した学校です。もともと女子校としてはあったのですが、まったく新たに校内に男女共学のコースを新設して、第1期生の中1だけの学校です。中野にある宝仙理数インターという、耳慣れない校名の学校でもあります。
 副校長先生が古くからの友人ということもあって、学校を訪れ授業も見せていただきました。1クラスに18名~19名で3クラス。公立の40人学級との違いは数の面だけではなく、授業内容の相違があまりに大きく、今更ではあるのですが、私立中優位の状況を見せつけられた気がします。
 この学校では、全員が同じノートパソコンを支給(正確にはリースだそうです。月額2300円のリース料)され、文房具のひとつとしてノートパソコンを中1の生徒が駆使しているのは印象的でした。使わない時や帰宅時には各自のロッカーに入れておくのだとか。
 英語も、ネイティブの先生と日本人の先生が2人1組のチームティーチングですので、先生1人あたりの生徒数は10人に満たないという環境は公立では望むべくもないことでしょう。

 単純に両校を比較することはできないと思います。方やごく一般的な公立中であり、もう一方は発足したばかりの私立校で資本の投下も思い切ってやっている時期ですしスタッフもフレッシュな気持ちで中1だけを相手にしていればいい状況ですので、基礎条件の違いが大きすぎます。
 とはいえ、客観条件でくらべると、スペースとしての空間は公立中が段違いに広く、先生の数も生徒数が多いとはいえ格段に公立のほうが上回ります。
 どこが違うのか。うまく表現できませんが、流れる空気の違いを感じました。私学がいいか公立がいいかという単純な選択ではなく、学校として目指す明確な方向性を有しているかいないかの違いは、子どもたちが生活する空間の質的相違に発展していることを認識しなければならないと思います。

 たまたま訪れた私立中が良いというのではなく、現在のごく普通の公立中こそ、より積極的に変えていかないと、もしかしたらこの国は大変なことになりはしないかという危惧を強く感じました。公立がダメだから私立中を選べば良い、ということで済む問題ではないからです。
 ただ、消息筋によれば、都会地の公立学校教諭のご子弟が私立学校に在籍する比率はきわめて高いとのことですから、公立の抱える問題については最も深く認識されているともいえそうです。

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